2010年11月15日(月) 日本パンダ保護協会 親睦会
今年の冬は久々に寒い冬になりそうですが、皆様お健やかにお過ごしでしょうか。平素はパンダ保護にご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
2010 年 11 月 15 日 (月) 霞会館 (霞ヶ関ビル 34 階) に当協会の名誉会長黒柳徹子氏をお迎えし親睦会を開催致しました。
本年は、上野動物園に待望久しいパンダが2011年春にも来日決定といううれしいニュースを受け、動物園関係者としてパンダ貸与(借受)に直接関わられたお三方を親睦会のゲストにお迎えしました。今回も遠方から駆けつけた方や家族連れで参加された会員の方もあり、会員・峰澤彰宏氏の司会進行のもとなごやかな雰囲気で日本パンダ保護協会役員諸氏と会員の方々の交流を深めることができました。
動物写真家の草分けでパンダの写真集もある当協会の田中光常会長による開会挨拶に続き、青木副会長の発声による乾杯で親睦会は始まりました。
超多忙なスケジュールの中、親睦会のための時間を調整して開会から閉会まで通して出席してくださった黒柳名誉会長も、上野動物園にパンダが来日するということを大変楽しみにされている様子でした。
和歌山で双子の赤ちゃんパンダ(愛浜・明浜)たちと、ごく間近で対面したこともある黒柳さんは、『(今は亡き)梅梅が双子を一緒に育てたことはとてもすごいこと。白浜ではその梅梅の連れ子の良浜が双子を産んでいます。』と白浜パンダファミリーの話をされたり、『パンダは不思議な動物で、なぜ白と黒なのか、本当のところはわからない』とか、『パンダは笹や竹しか食べないと思われているけれど、四川で竹の花が咲いてパンダの主食である竹が枯れてしまったとき、羊の肉を焼くにおいでパンダをおびき寄せているのを見ました。ということは、パンダもお肉を食べるのかしら?』など、小学生の頃からパンダを研究している“元祖パンダ博士”らしいお話をされました。
親睦会参加者は、甘鯛のソテーやローストビーフのおいしいフランス料理をいただきながら、出席された当協会の評議員、ゲストの方々からパンダとのかかわりやパンダの来日に関する裏話などを聞かせて頂きました。
評議員の小山芳郎氏(元NHK、現在フリージャーナリスト)からは、『産経新聞による「戦後史開封」という本の昭和.47年に初めてパンダが日本に来たときの記事に、“黒柳徹子さんは「日中の国交が回復したので、パンダをお願いして欲しい」と首相官邸に電話をしようと思っていた”というエピソードが載っていました』という報告がありました。パンダ初来日の日、上野動物園の裏口で黒柳さんがパンダを乗せたトラックの到着を長時間待っていらしたというのは有名ですが、そこまでパンダの来日を待ち望んでいらっしゃったとは・・・・
親睦会のゲストとして中国側とパンダの貸与(借受)交渉をされた東京動物園協会からは理事長の浅倉義信氏と常務理事の小口健蔵氏、パンダの受入施設となる上野動物園の飼育展示課長・福田豊氏が出席されました。
東京動物園協会は60年前に設立され、現在の総裁は常陸宮殿下。東京都の4つの動物園・水族園の運営をバックアップする組織です。
浅倉理事長から『パンダ保護サポート基金』を立ち上げる計画がありますが、現在は中国問題の関係で活動を控えている状況。今後活動できる状況になったら会員の皆さんも基金を支援してください』との協力要請がありました。
来日するパンダのために現在上野動物園ではパンダの受入施設を改修工事中ですが、獣医でもある福田氏は中国から貸与してもらうパンダの個体選定の際、ペアとなる2頭の発育状況、健康状態や容姿などのチェックを念入りになさったそうです。
『貸与してもらうことになった比力と仙女は、5月の個体選定時には広州の動物園にいました。暑い日で大の字になって寝ていた姿がとても可愛かったのですが、小宮園長からの命令で、比力にちゃんとタマがついているかどうか望遠で確認。滞在中に中国人の飼育係からメールアドレスを教えてもらい帰国後も情報交換できるようにしてきました。7月に北京で調印した時、小宮園長が撮影したパンダの写真を自分が日本に送信することになったのですが、うまく送れるかどうかとても緊張しました。東京に映像が届いたことを確認できたときはほっとしました。
この9月に来日した中国の飼育関係者を温泉に案内したらとても気に入ってくれまして、一緒に風呂にはいり、お互いの背中を流しあうことでうち解けることができました』と現場レベルの担当者としての苦労や裏話を披露してくださいました。
動物園関係者の皆様方のこれまでのご尽力に感謝申し上げると共に、パンダの来日により稀少動物の保護活動への関心が高まり、支援者が増えるよう私たちもパンダ愛好家として微力ながらお役に立ちたいと思いました。パンダの来日時期は未定ですが、元気なパンダさんたちに上野で会える日が楽しみですね。
今回の親睦会は、出席した会員各自が自己紹介。パンダとの出会いやかかわり方に違いはあってもパンダへの熱い思いは共通ということで、会員同士の親睦や交流がより深まるようなコメントをしてくださいました。パンダを通じて交友関係が広がったり、中国とのご縁ができたという方も多いようです。
最年少会員として親睦会に出席し、会場の人気を一身に集めた生後8ヶ月の赤ちゃんのお名前はパンダ(大熊猫)くん。お母さまから、『高齢出産となった3番目の子が丈夫な子どもに生まれて来るように「熊」という字を使った名前にしました』というエピソードが紹介されると会場はおおいに沸きました。白黒模様のベビー服のパンダ(大熊猫)くんを始め、可愛いパンダTシャツやパンダグッズを着用している会員が会場では目につきました。
中国まで里子パンダに会いに行ったのに現地でなかなか里子に巡り会えず苦労された方もいましたが、『こんど来日する比力(2005.8.16生まれ)の里親を3年間していました。生後半年と1歳半の時の比力と一緒に写真を撮っています!比力と一緒に来日する仙女ちゃんは、比力と仲良しと聞いています。』というパンダ仲間にちょっと自慢できるエピソードをお持ちの方も。
会員から動物園関係者に対して、『上野動物園にくるパンダはガラス越しでなく観覧できるような展示方法を考えていただけないでしょうか。ガラスありとなしでは見学者に伝わるモノが違うと思います』という切なるお願いも飛び出しました。
また、中国雲南省で邱永漢氏がやっているコーヒー栽培事業の“Q’sコーヒー”を「パンダコーヒー」として日本に紹介するビジネスの関係者も特別ゲストとして出席されました。早速、黒柳さんが「コーヒー豆が黒と白じゃないの?」と質問されましたが、“そのコーヒー豆は幻の豆といわれるくらい育てるのに大変な苦労があり、パンダも育てるのが大変”という共通点からパンダのイラストをパッケージに使うことになったそうです。この商品の売上金の一部が日本パンダ保護協会に協賛金として支払われることになっています。(当協会の協賛金収入は、すべてパンダ保護研究のため中国に送金されます)
続いて、贈呈式が行われ、田中会長より黒柳名誉会長に恒例の里子パンダの写真、当協会が共同編集した「パンダの里から」などが贈られました。
ゲストおよび特別ゲストの4氏にも「パンダの里から」を進呈いたしました。 田中会長から会長撮影の写真集が、最年少会員パンダくんと黒柳さんにプレゼントされました。
40数種類の動物のあどけない寝姿がいっぱいの写真集「夢みる動物たち」には野生動物の貴重な姿も多く、黒柳さんも熱心に見入っていらっしゃいました。
座席番号による恒例のお楽しみ抽選会で会場が盛り上がった親睦会は青木副会長閉会の辞の後、別室で黒柳名誉会長を囲んで出席者全員の集合写真を撮影。
黒柳さんは、「『ブロッコリー』」と言いながら笑顔で!」と号令をかけてくださいましたが、数枚撮影した後、いきなり「ハイ、キムチ」とのかけ声にかわったので大きな笑い声が巻き起こりました。
出席者はパン友さんたちと再会を約束し、名残をおしみつつ散会となりました。現在日中関係が難しい時期にありますが、“人類愛に基づいた『動物外交』ができないものか。パンダを通じて世界平和に貢献したい”というのが、親睦会出席者に共通する願いと感じました。
(写真 : 岩崎洋一郎さん、レポート:井田綾子さん)
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