2011年 日本パンダ保護協会 懇親会
このたびの東日本大震災により被災された皆様、ご関係者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
2011年11月15日(火)、ホテルラングウッド(荒川区東日暮里)にて当協会の名誉会長黒柳徹子氏をお迎えし、親睦会を盛大に開催致しました。
本年2月、上野動物園に待望久しいパンダ2頭が来日。4月1日より日本名・リーリーとシンシンとして一般公開された2頭は、上野の住環境や日本のタケにすっかりなじんでいるようです。4年ぶりにパンダがいる夏休みとなった今年の夏は、連日1万人以上の来場者が訪れたとのこと。
上野をはじめ街中でもパンダグッズなどが目につきますが、今年の親睦会は毎日パンダたちをお世話し、大勢のお客様を迎える立場の上野動物園関係者お二方を特別ゲストにお迎えしました。今回は遠方から駆けつけた会員も多く、最年少会員で生後1年8ヶ月の大熊猫(パンダ)くんもご両親と一緒に参加しました。会員・前田圭子さんの司会進行のもとなごやかな雰囲気で日本パンダ保護協会役員諸氏と会員の方々の交流を深めることができました。
日本パンダ保護協会は来年10周年を迎えることになりますが、2002年に当協会の活動を始めた田中光常会長から、本日出席の評議員やゲストの方々の簡単なご紹介と会の活動に関する報告で親睦会が始まりました。
パンダの繁殖プロジェクトを支援するために今春設立された『ジャイアントパンダ保護サポート基金』に、当協会会員から預かった寄付金を届けた旨の報告がありましたが、当協会の名誉会長黒柳徹子さんは、このサポート基金の運営委員会顧問でもあります。(超多忙なスケジュールの中、親睦会のための時間を調整してくださった黒柳名誉会長は、お仕事の都合で定刻より少し遅れてのご出席となりました。)
親睦会参加者60数名は、見た目も美しいコースのお料理を味わいながら、出席された当協会の評議員、ゲストの方々からパンダとのかかわりやパンダの飼育現場からの報告などを聞かせていただきました。
評議員の中川志郎氏(39年前、上野動物園にはじめてパンダがやってきた時、獣医師として飼育プロジェクトのリーダー。現在『ジャイアントパンダ保護サポート基金運営委員会委員長』)からは、「パンダが初来日したときのことは今でも忘れられないが、初代飼育員の本間さんから現在まで、歴代の担当者はいつも動物に学んでいる」というお話がありました。
同じく小山芳郎氏(元NHK、現在フリージャーナリスト)からは、今年の春、「私のパンダ物語」というタイトルで黒柳徹子さんにインタビューした2分間のラジオ番組が、東日本大震災の影響でいまだにオンエアできていないというお話がありました。震災の影響はこんなところにまで及んでいるのですね。
仕事先からタクシーで駆けつけた当協会の黒柳徹子名誉会長は、今年の春TVの特番出演時にビデオで見た、上野で公開が始まった頃の2頭のパンダの様子を紹介されました。「パンダたちを観客が見やすいようにと前面のガラス近くに餌が並んでいました。そうしたら、雌(シンシン)はお客さんの目の前で食べたのに、雄(リーリー)の方は、食べ物を持ってさっさと後の方に行ってしまったの。雌と雄で反応が全然違うのが面白かった」とのこと。
また、黒柳さんは「四川大地震の時、施設から裏山に逃げ出して身体中真っ黒になったパンダがモッコに入れられて救出される映像を見ていたら、モッコの中のパンダがちっともジタバタしないで悠然としていたのでビックリ。他の動物なら絶対ジタバタするのにパンダは凄い」と話されましたが、「パンダは身体が汚れてもお風呂に入らないのかとよく訊かれるの・・・・」という疑問が投げかけられました。(この疑問については後刻、パンダの飼育ご担当者から説明があります)
親睦会の特別ゲストとして、今春から2頭のパンダを飼育している上野動物園の土居利光園長と飼育展示課のパンダ飼育ご担当者が出席されました。
8月1日付けで上野動物園に来られた土居氏は、先頃中国で開催された『パンダ繁殖技術委員会年会』の基調講演で「これまでパンダの繁殖計画は量的な拡大を目標にしてきたが、現在、施設などで飼育されているパンダの総頭数が全世界で330頭になったので今後は遺伝子の多様性を保ちながら繁殖を進めたいという趣旨の話があった」と報告されました。パンダの数が順調に増えているのはパンダの保護活動に関心を持つ当協会会員にとっても喜ばしいことです。
今回、上野動物園で日々パンダのお世話を直接されている飼育ご担当者が、親睦会出席者の皆さんの様々な疑問に答えてくださることになり、早速、黒柳名誉会長からは「2頭の相性はどうですか?」という質問が飛び出しました。「2頭は、同居はまだですが、隣同士でいることは多々あり、時々お互いに鳴き交わしているので、10年という契約期間内には(2世誕生を)なんとか・・・・」とのことです。四川省の同じ施設で生まれ育った幼なじみのペアの赤ちゃん誕生が待ち遠しいですね。
評議員で『ジャイアントパンダ保護サポート基金』にも協力されている、湯川れい子さんの質問は、「パンダはなぜ汚れた身体のままでいるの?」という黒柳名誉会長もよく訊かれる疑問でした。その答えは、「(飼育スタッフが)パンダの身体を洗うということはなく、本人たちがプールに入って毛繕いするときれいになるが、水浴びした後すぐ砂場で転がってしまったりするので元気なパンダほど汚れている。雄(リーリー)の背中が黒いのはドロです」とのこと。
最近のパンダたちの様子についてですが、特に決まった遊び道具を与えなくても、食べ残しの竹や、掃除用のホースを部屋の中に引き込んで遊ぶなど好奇心一杯で元気に過ごしているそうです。
また、来日後8ヶ月を経過したパンダと飼育スタッフはお互いに心を開きあう関係になってきたようで、その時々で違う表情を見せるなど2頭のパンダの性格なども第一印象からどんどん変わっているように感じているというお話もありました。
関東地区・関西地区の責任者となっている会員からの活動報告のほか、“愛らしいパンダに出会うことで皆が笑顔になれる”キャラクターや写真を使った商品の企画・販売を通じて当協会とご縁のある企業や団体の方もゲストとしてご挨拶されました。
恒例の贈呈式では、田中会長より黒柳名誉会長に里子パンダの写真アルバムが贈られ、特別ゲストおよびゲストの各氏にも当協会の書籍を贈呈致しました。特に、24時間パンダをモニターして、糞や体臭なども観察しながら体調管理に努めてくださる飼育ご担当者には、出席者一同から感謝の気持ちを表す大きな拍手が送られました。
“上野のパンダ復活人気”もあって出席者にもれなく景品が行きわたった“お楽しみ大抽選会”で会場は大いに盛り上がり、閉会の挨拶に立った顔安副会長から、40数年前、子どもだった顔氏が四川省の自由市場でペットとして売っていたパンダと遊んだ思い出が語られると会場内がどよめきました。
今回も別室で黒柳名誉会長を囲んで、出席者全員の集合写真を撮影し、パン友さんたちと再会を約束し、名残を惜しみつつ散会となりました。
黒柳名誉会長からもパンダ保護協会の会員が増えることを願っていますとのコメントがありましたが、今年の親睦会では、最近入会された会員の方々の「パンダとの出会いの思い出」などの自己紹介がありました。上野にパンダがいることをきっかけにパンダの保護活動への関心が高まることを期待したいですね。
(レポート : 井田綾子さん、集合写真 : 北山末子さん、齋藤亘さん)
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