2011年4月1日 東京都恩賜上野動物園のジャイアント パンダ 日本デビュー
東日本大震災の影響で、3月22日から延期されていたパンダの日本デビューが、2011年4月1日(金)にようやく実現しました。悲しいニュースの連続で心が沈む中、二頭の愛らしい姿に、この一時の間だけは、観覧者も報道陣も和やかな雰囲気に包まれました。
上野動物園でパンダが公開されるのはリンリンが亡くなってから3年ぶりで、パンダを観ようと朝早くから長い列ができ開園を待っていました。あまりにも多くの人が並んだため、開園を15分繰り上げての公開になりました。報道陣は国内外100社以上が集結しました。
9時30分ごろ、待ちに待ったパンダが一頭ずつ屋外展示場に登場。最初に雌のシンシンが姿を現しました。一斉に押されるシャッター、実況中継のアナウンサーの声。しかしシンシンはまったく落ち着いていて、屋外展示場の様子を軽く確認した後、報道陣にも動じることなく屋外展示場の前面に置かれた笹の前に座り笹を美味しそうに頬張り始めました。
次に出てきた、雄のリーリーは、展示場の中を念入りに確認して歩いてまわり、いつもより多いギャラリーを横目に、石を背持たれにして笹の前に座り笹を食べ始めました。報道陣のカメラ位置からは丁度後ろ向きの体制になったため、リーリー側からは落胆の声が漏れていました。
シンシンもリーリーもいつもとは違う雰囲気や人の多さやは感じているものの日本での生活にすっかり慣れている様子でとても元気でした。
11:00からパンダ舎の前では、小宮輝之 園長と、福田豊 飼育展示課長との囲み取材が行われました。最初に小宮輝之 園長から「こんなに沢山の方が集まってくれて大変嬉しい、最近の上野動物園の来園者は大人が多かったが、今日は子供さんの姿が多くみられる。パンダを始め色々な動物を観て癒されてくれると嬉しい、また、パンダの公開までには、中国スタッフの協力に大変感謝しています。」と挨拶かあり、質疑応答に移りました。
質問、今日のパンダの様子はどうですか?
回答、観客の前に出で少し緊張しているものの、食欲もあり餌もいつもと同じ様に食べているのでとても元気。その証拠に、以前は、シンシンとリーリーは一日に10kbぐらいの糞をしていたが、最近、特にリーリーは、沢山餌を食べて一日に20kbの糞をするようになった。
質問、上野動物園ではパンダは何を食べていますか?
回答、人参、りんご、とうもろこしを主原料にしたパンダ パン、竹や笹を与えています。昔はおかゆ等も与えていたが、長年の研究の結果、パンダは竹を沢山食べないと大きく成長しないことが分かったので、竹を沢山与えるようにしている。
質問、3月11日の大地震の時の様子はどうでしたか?
回答、動物園の動物は皆驚いていた。シンシンとリーリーも驚いて部屋の中を走りまわっていたが、シンシンはすぐに落ち着いて餌を食べ始めた。リーリーはシンシンより長い時間興奮していたが、やがて落ち着いて餌を食べ始めた。
質問、シンシンに発情の兆候があるとのことだが、どのような様子ですか?
回答、昨日までは、餌の量が少し減るなどしていたが、今日は通常の時と同様に食べているので、発情のピークには達していない様子。発情すると、オスのことを気にしたり、独特の鳴き声をし、身体がほてってくるらしく、プールに入ったりする。その様な兆候がでてきたらリーリーと一緒にする予定。また、その様な嬉しい兆候がみられたら、急遽公開を中止する予定。
その他様々質問があり、小宮 園長と福田 飼育展示課長が丁寧に回答されていました。記者からの質問で一番多かったのは、やはりシンシンの発情の兆候についてでした。早くもパンダ ベビーの誕生の期待が高まっているようです。
パンダ舎の前には何重もの列ができ、シンシンとリーリーの前は観覧者で身動きがとれないほどでした。リーリーはあまりにもの人の多さに、パンダが恋しくなったのか、シンシンの展示場の格子の前に笹を持って行き食べる場面もありました。シンシンもそんなリーリーが気になるらしくお互いが格子越しによる場面もありました。しかし、マイペースのシンシンはお腹がいっぱいになったのか、大きな岩を枕にしてまどろみ始めました。
今日をスタートに、リーリーとシンシンは私達に愛くるしい姿を魅せて、動物園に訪れた人達を魅了させてくれることでしょう。
子供も大人も目の前の動くパンダに興奮ぎみで、「可愛い~。」と歓声を上げながら、その姿を写真に収めていました。暖かい陽射しの中、リーリーとシンシンのパンダ舎の前は、輝く笑顔で溢れていました。
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